■ 木戸式治療について ■

last modified  06/24/2025

経絡系統治療システム<VAMFIT>

 VAMFIT は特殊な方法ではなく、この鍼灸医学の原典ともいうべき『黄帝内経』(『素問』、『霊枢』)の理念に則った、病の原因になっている経絡の変調を整えるという東洋医学の基本ともいうべき正当治療法だと言える。  すべての病の根本は臓の「精気の虚」にあるという『素問』 調経論などの考え方から、”基本証”として肝虚証 (血の不足)・脾虚証 (気・血・津液の不足)・ 肺虚証 (気の不足)・腎虚証 (津液の不足) がある。この臓の 「精気の虚」はそのまま愁訴になるのではない。これに内因、 外因、 不内外因が加わることで寒熱が発生し、それが各臓腑経絡に波及して、 気・血・津液の過不足となり愁訴を引き起こす。さらに別行の正経(経別)や別絡(絡脈)、奇経、あるいは経筋にまで歪を広げていくこともある。そのため、愁訴を緩解させるためには、「精気の虚」 を改善することは勿論、寒熱波及を受け、変動(異常)を起こした「経絡系統 (経脈・絡脈・経別・奇経・経筋)」 を検索し、整えることが必要となる。この臓の「精気の虚」と、変動(異常)を起こした「経絡系統」の診断と治療が誰にでも簡単に出来るようにシステム化したものが「VAMFIT」 である 。   VAMFIT: Verification of Affected Meridians for Immediate Therapy (「即時的直接的治療のための寒熱波及経絡であることの検証」の意。)

天地人治療

 木戸正雄は長年にわたり、多くの患者を診るうち、「天・地・人 」は「経絡系統」と並ぶ『黄帝内経』(『素問』・『霊枢』)の治療原則の柱となるメインテーマの一つであるということを確信するに至った。そして、臨床を通じて、この古代中国哲学における根本概念ともいうべき三才思想を系統的、かつ実践的な治療体系として 構築していったものが「天・地・人 治療」である。  「天・地・人治療」は、身体を三分割 (天・地・人)してとらえ、治療法としてシステム化したものである。「天・地・人治療」 では、 人体を気の袋と考える。その袋は基本的に天・人・地と並んだ3つの袋から成り立ち、その各々の袋の中に、さらに天・人・地と3つの袋が詰まっているが、その袋の中にはまた、 同様に3つの袋が詰まっているというように際限のない 「入り子構造」 になっている。つまり、 「天・地・人」 の三分割は全身のいたるところに当てはめられ、いくらでも細分化できるものである。この袋の中の気を調整していくことが、「天・地・人 治療」 の基本的な考え方である。そのため、その各々の袋の境界部を「節」と考え、施術において重要な部位としている。 「天・地・人治療」 は、三分割した気街を運用する 「天地人-気街治療」 と、身体の一部位に小宇宙(全身)を投影する 「天地人-小宇宙治療」 の二つに分類できる。「天地人-奇経治療」や「天地人-八虚治療」、 「天地人-標幽賦治療」、「天地人-四海治療」、 「素霊の一本鍼」などは 「天地人-気街治療」 に含まれ、 寸口部における 「脈診」は「天地人-小宇宙治療」 に含まれる。 さらに、 「VAMFIT」 と 「天地人」 の交点を利用することで、特効穴を自由に設定することも可能となる。 Tenchijin Therapy

脈診習得法<MAM>

脈診習得法<MAM>はステップ・アップ方式の訓練で脈診を習得するカリキュラム。訓練内容を6段階に分け、比較的容易な感覚の訓練から徐々に難易度の高い技術へとステップアップするカリキュラムで、各ステップはイメージ的アプローチ、技術的アプローチ、感覚的アプローチで構成されている。各ステップには多くの課題が設定されているため習得には時間はかかるが、着実にステップアップを図ることができる。  脈診評価表<MAT>の開発により、脈診内容を客観化させることが可能になったおかげで訓練および習得程度の確認や共有ができるため、修正点も明確になり、効率良く上達できる。 脈診評価表<MAT>の開発により、従来「基本四証」とされていた経絡治療における診断が心虚証と心包虚証を加えた「基本六証」となることが検証された。  MAM:  Method for Acquiring Myakushin

 

◆ 木戸式治療 用語説明 ◆

 「頸入穴」「刺熱穴」「霊背兪穴」「素経脈」「小三脈」「三大脈」「大肺脈」「肺包脈」「包心脈」「心小脈」は木戸正雄により命名された固有名称です。
経穴全般に言えることですが、診断・治療穴とされる重要穴でも、扱いを間違えると悪化にも作用します。
それぞれ正しい活用方法をまず確認してから、診断・治療に用いられることを強く推奨します。

「頸入穴」

頸部を診断部位として用いる頸部VAMFITのうち、頸入穴VAMFITの診断穴。
『霊枢』根結篇第五の記載の「頸の入穴」=『霊枢』本輸篇第二の「脈穴」に命名した分類名。
人迎、扶突、天窓、天容、天牖、天柱 がある。

「刺熱穴」

頸部を診断部位として用いる頸部VAMFITのうち、刺熱穴VAMFITの診断・治療穴。
『素問』刺熱論第三十二の記載に基づく五臓の熱病の治療箇所に命名したもの。
肺熱穴、心熱穴、肝熱穴、脾熱穴、腎熱穴 がある。

「霊背兪穴」

頸部および背部を診断部位として用いる霊背兪穴VAMFITの診断・治療穴。
『霊枢』背兪篇五十一の記載に基づく背部兪穴を脊椎で6椎上に移動させた位置で、
各兪穴名に『霊枢』の「霊」を冠して命名したもの。
従来の背部兪穴は第1胸椎を1番目で「大杼」としているのに対し、
霊背兪穴は第2頸椎が1番目で「霊大杼」となる。

「素経脈」

『素問』刺腰痛篇四十一の記載にある正経十二経・奇経八脈のいずれにも属さない経脈。
古典に名称の記載がある足の該当脈 
および 正経の合間の位置の記載のみの手の該当脈の分類名として、
「経脈」に『素問』の「素」を冠して命名したもの。
手の素経脈には、両隣の経脈により脈名を命名。
足に 解脈、同陰脈、衡絡脈、会陰脈、直腸脈、飛陽脈、昌陽脈、散脈、肉里脈、
および 手に 小三脈、三大脈、大肺脈、肺包脈、包心脈、心小脈 がある。

「脈診評価表<MAT>」

木戸正雄らが開発し命名した脈診結果を記入する表。
横軸3部位x5層の各層1つずつの評価を左右で2つの表に記入する。
日本語名称は「脈診評価表<MAT>」、
英語名称は Myakushin Assessment Table, MAT。
5層の脈診評価表<MAT>の形は研究開発されたオリジナルの道具であるため、脈診習得の目的においては、開発者が提唱する運用法がベストです。
脈診習得のうえで大切なことは、一度に脈診法のすべてを学ぼうとしないことであり、まず3段階の深さの把握を習得したのちに、5層の捉え方を訓練してから、5層の脈診図を活用してください。
脈診を練習中の方は、MAMの特徴が5層図だから、といきなり解説本の5層の説明の章だけつまみ読みしてもうまくいきません。きちんと手順を踏んだ、順番通りの段階的なトレーニングを推奨します。

posted 06/16/2025

©2025天地人治療会

上部へスクロール